ペットロスケア

ペットロスは病気?ペットロスとは何かを詳しく解説【症状や向き合い方を紹介】

ペットロスの悲しみ

ペットとの別れはとても辛く悲しいものです。近年ではペットロスという言葉も一般的になってきました。そんな中、

ペットロスは病気なのでしょうか?

ペットロスになっても大丈夫なのでしょうか?

このような声が多く寄せられるようになりました。

この記事では、これらの疑問を解決するためにペットロスとは何か詳しく説明します。ご自身がペットと暮らしている人はもちろんや、周りの人がペットとの別れに直面している方に、ぜひ読んで頂きたい内容です。

 

この記事の信頼性

著者(writer):猶原 優

京都大学卒業。ペット葬儀社「お寺のペット葬安穏」の代表としてペット葬儀に携わる。ペットロスケアのカウンセラーとしても活動しており、ご遺族の気持ちに寄り添ったあたたかいサービスを心掛けている。

 

ペットロスは病気ではありません

家族同然の愛するペットを失ったとき、誰だって辛く悲しいですよね。

では、この悲しみは病気でしょうか?

違いますよね。

ペットロスは、ペットと別れた飼い主に起きる感情や体の変化、環境の変化の全てを言います。そしてこれらは全て自然なものです。ただ、きちんとした順序を踏んで悲しみと向き合うことができなかった時、病的な心身の状態になってしまうこともあるのです。

では、一つずつ丁寧に説明していきます。

ペットロスの定義

ペットロス(pet loss)は、1970年代の半ばにアメリカの専門家たちの間で「ペットの喪失(loss of pet)」の意味で使い出したのが始まりです。しかしこの時、明確に言葉の意味を定義されることがなかったため、専門家の間でも使われ方が違っていました。

ある研究者は「ペットの喪失に伴う重篤な鬱状態」を説明するときにペットロスという言葉使い、ある心理師は「ペットと離別した際に生じる通常の自然反応」という意味でペットロスという言葉を使うような状況でした。

しかし、現代ではある程度ペットロスの言葉の意味は明確になってきています。

例えば、日本ペットロス協会代表理事の吉田千史氏はペットロスを以下のように定義しています。

引用

ペットロスを定義するにあたり、この言葉が使われた当初の原意と、精神分析学派によって究明されてきた対象喪失論(object loss)や、世界保健機構(WHO)の提言するスピリチュアル・ケアの知見等を参考にして、次のように定義している。

愛するペット動物を失うこと、その別れにともなう心理的、身体的、社会的、スピリチュアル(霊的)な体験過程に対する総称的な用語

すなわち、ペットロスとは、ペット動物との別離(心理学・医学では、分離という)を原因とするあらゆる喪失体験に対する包括的な呼称であり、その体験が正常か、正常ではないか、あるいは良好か、病的かのいずれかに限定されるものではなく、ペットとの分離体験の全体を含む総称名として用いるのが良いと考えている。

*動物葬祭概論 一般社団法人日本動物葬儀霊園協会 より引用

つまり、ペットロスは簡単に「ペットが亡くなった飼い主が体験する全てのこと」と筆者は考えています。これはペットとの別れによって生じる悲しみが、通常か病的かに簡単に分けられないためです。要は「ひどく悲しい=ペットロス=病気」ということではないということです。

ペットロスで悲しむ女性

ペットロスの6つのプロセス

ペットの死後、飼い主は別れを悲しみ、気持ちが落ち込みます。しかしこれは、いつまでも同じ悲しみ方をするわけではなく、一定の過程を経て立ち直って行きます。この過程を悲哀の過程(喪の過程/モーニングプロセス)と言い、通常以下の6つの過程をたどって進行します。

引用

準備期

ペットの死を予想して不安、動揺が始まる予期悲嘆の時期

死期

ペットが死亡する極度に緊張する時期

衝撃期

死の直後からしばらく続くショックの時期

悲痛期

失意と混乱のどん底状態を抑える絶望の時期

回復期

断念を図り、心の整理がつき始める時期

再生期

立ち直って、体験を肯定的に振り返る時期

*動物葬祭概論 一般社団法人日本動物葬儀霊園協会 より引用

ペットを亡くした飼い主はこれらの過程を、行ったり戻ったり、時に立ち止まったりしながら少しずつ現実を受け入れて先に進んでいきます。立ち直るまでの期間は個人差が非常に大きく、自身の性格やペットとの関係性、周りの環境にも大きく左右されます。

ペットとの死別は決して日常的なことではなく人生の大きな出来事ですので、回復を焦ることなく、しっかりと悲しみ喪に服しながら、自分の中で一つ一つ納得していくことが大切です。

ペットロスの最中にある方は、今、自分がどの過程にいるかを知ることで、その悲しみが果てしないものでないとわかり、今後の心の動きの展望が立つことでしょう。そうすることで、今の自分の悲しみをしっかりと受け止め前に進むことができると私は考えています。

ペットロスで悲しむ女性2

ペットロスに起こり得る具体的な症状

一般的にペットを亡くした人に起こり得る状態を心理的、身体的、社会的の3つに分けて説明します。

ペットとの死別後、心理的に起こり得る状態

  • 深い悲しみ
  • 思慕の情(ひとめ会いたい、戻ってきて欲しいと願う)
  • 後悔・自責・罪悪感・償いの念
  • 分離不安(別れにともなって起こる不安)
  • 抑うつ気分
  • 混乱と絶望
  • 無常観(はかなさ、虚しさ)
  • 無力感・挫折感
  • ペットを見捨てたという思いと、ペットに見捨てられたという思い
  • 没頭(あの子の最後の姿が頭から離れない)
  • 感覚と感情の鈍麻(味覚がなくなる、喜怒哀楽の感情が乏しくなる)
  • 怒りと非難
  • 一過性の幻覚(亡くしたペットの姿を見る、鳴き声や歩く音がする、匂いがする、触れられたなど)
  • 思考力・集中力の低下
  • 亡くしたペットの理想化(あんなにいい子は2度といないと思う)
  • 解放感と安堵感(ペットが亡くなりホッとする)

ペットとの死別後、身体的に起こり得る状態

  • 疲労・脱力感
  • 胸苦しさ・動悸・息切れ・呼吸促迫(呼吸が速く浅くなる)
  • 口腔や喉の緊張感(口が乾き、喉がカラカラになる)
  • 知覚過敏(小さな物音にビクッとする、動物の鳴き声に敏感になる)
  • 離人感(自分や周りで起こっていることに現実感がない。自分だけベールに包まれているような感じ)
  • 睡眠障害
  • 食欲障害

ペットとの死別後、社会的に起こり得る状態

  • 孤独感や疎外感
  • 社会的引きこもり(外に出たくない、人に会いたくない)
  • 無関心(全てのことがどうでもよくなる)
  • 勤労意欲・学習意欲の低下(仕事、学習、家事に身が入らない)
  • 探索(亡くしたペットの痕跡を探す)
  • 思い出の品の保持、ペットの死を思い起こさせる場所の回避

ペットロスの症状への向き合い方

これらは通常のペットロスでしばしば見られる特徴です。一人が全てを経験するわけではなく、どの状態をどの程度の強さで経験するかには大きな個人差があります。また先に説明した6つのプロセスごとに現れやすい特徴もあります。死別直後は、やり場のない怒りを含む激しい悲嘆であるのに対し、しばらく後は、しんみりとした深い寂しさや、出どころのない絶望感を伴った悲嘆になりやすいです。

しかし、ここで大切なのは、これらの状態を経験することは自然な反応であり、決して病気ではないということです。悲しみに暮れることは、心が弱いということではなく情緒豊かで繊細な感性の表れと言えます。

これらの特徴は、心の均衡を保つために必要だから表れています。自分や身近な人にこれらの特徴が見られても決して、無理に抑え込もうとしないでください。その時の自身の状態を受け入れながら、しっかりと悲しみ、少しずつ別れを受け入れていくことが、立ち直るために最も大切なことです。

まとめ:ペットロスは病気ではない

いかがでしたでしょうか。ペットロスは誰にでも起こりうるものです。病的に見られる症状も、悲しみと向き合うために「その時のあなた」にとって必要なことなのです。決して焦らずに、少しずつペットとの別れを受け入れていくことが大切です。

この記事が、皆様やその身近な人のペットロスの苦しみを、少しでも和らげるお手伝いになっていれば幸いです。

参考文献

動物葬祭概論 一般社団法人日本動物葬儀霊園協会

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